盆栽のすゝめ(入門編)

桜が満開の季節となりました。

そこで本日は、アクアリウム・ねこに並ぶ

私のもう一つの趣味をご紹介致します。

タイトルから丸わかりですが・・・そう、「盆栽」です。

ちなみに、今回も本気(マジ)語りさせて頂きますので、長文覚悟して下さい😎

なお、あまりに長いので、少しでも読みやすいよう細かく章立てをして分けてみました。

飲み物でも片手にじっくりとお付き合い下さいませ。

 

 

                                          

【Ⅰ】めぐりあい宇宙編

私がこの盆栽という小宇宙に初めて興味を持ったのは7~8年ほど前のことです。

都内のデパートで開催されていた盆栽展の前をたまたま通り掛かった際

横目に飛び込んできた盆栽のあまりの美しさに一瞬で惹きつけられ

興味が湧いたのがきっかけでした。


(↑当時のiPHONE3Gで撮影:唐カエデ/真柏)

そしてその後、最初の盆栽を購入したのは5〜6年ほど前。

都内のインテリアショップに入った際たまたま

盆栽園とのコラボで飾られていた「寒桜」「枝垂れ桜」の盆栽に一目惚れし

管理方もロクに知らぬのに「何とかなるだろう」と衝動買いしたのが最初でした。

僕にとってあなたは突然過ぎたんだ・・・

これが、その最初に買った「枝垂れ桜」。

写真を撮るのが遅かったので今年はもう葉桜になってしまいました。

寒桜の方は、元々持っていた不治の病気が原因で

残念ながら数年前に枯れてしまいました。

 

 

                                          

【Ⅱ】覚醒編

その後、本格的に盆栽の世界に入るきっかけとなったのは

自宅の壁に中国の山水画や花鳥図などを掛けて眺めているうちにふと

「書画は、手前に盆栽があるとより良いのでは?」という思いに至り

自らの意思で専門の盆栽園さんの門を叩いたのが最初でした。

 

そして、そこから盆栽園さんの指導のもと

少しずつ盆栽の勉強が始まり、それに伴い鉢の数も増えていきました。

これは、室内に置くための盆栽として

最初に買った一鉢で「キンズ」という樹です。

盆栽では「実もの盆栽」に分類(※下記参照)され

黄色い実をたくさんつけます。

 

参考までに、この盆栽の値段は

鉢代と植え替え代を含めて1万円とちょっとでした。

(その場で別の植え替えて貰った鉢代とその植替え代含む)

 

「ずっと室内に置いてもダメにならない管理がラクで丈夫なもの」という

格式高い老舗の盆栽園さんに対して敬意の欠片もない素人要求に

眉ひとつ動かさず笑顔で対応して下さった清香園さんには心から感謝するばかりです🙇🏻💦

 

 

                                          

【Ⅲ】親父が熱中するわけだ編

「盆栽」と聞くと、多くの人は「松」を思い浮かべると思いますが

盆栽は、大きく分けて以下の「5種類」に分類できます。

◉松柏盆栽  ・・・ 松(黒松・赤松・五葉松など)と真柏

◉葉もの盆栽 ・・・ モミジや唐カエデなど葉の変化を楽しむための盆栽

◉花もの盆栽 ・・・ 梅や桜など、花を楽しむための樹

◉実もの盆栽 ・・・ 柿や林檎など、実を楽しむための樹

◉草もの盆栽 ・・・ 草を鑑賞するための盆栽


(↑真柏)

「松柏盆栽」というのは「松」と「真柏」のことを指します。

この松と真柏という植物は生命力がとても強いので育てやすく、かつ長寿命。

そして何より、その威厳と風格ある姿から盆栽の世界では最も格式高いものとされています。

また、松は、その強い生命力から「陽の気」を放ち

人間にも良い影響を与えるとされ古来重宝されきました。

その証拠として、日本の古い家や町並みの写真を見ると

実に多くの家が門と玄関の間に松を植えていたことが確認できますし


(↑上3枚の写真はネット上から勝手に拝借しました🙇)

現在でも、京都などの格式ある古い邸宅にはとほとんど必ず

同じようにして立派な松が植えられているの見ることができることから

昔の日本人がいかに松を大切にしていたかが分かります。

 

 

                                          

【Ⅳ】美しいものが嫌いな人がいるのかしら編

盆栽は、以下の3つの要素で作られています。

 ◎樹  ・・・ 盆栽の本体。

 ◎鉢  ・・・ 樹を植える容れ物。

 ◎土  ・・・ 樹が根を張り、摂取する栄養や水分を保存するもの。

1.樹

先ずはこれを見つけるのが最初の一歩でしょう。

「この盆栽をお家で眺めたい!」
「この樹と一緒に生活したい!」

と思うような素敵な樹と出会うことです。

松柏盆栽をはじめ、たくさんの種類の樹と

様々な「樹形」の盆栽がありますので

盆栽園などに赴いてじっくりと探してみて下さい。

 

参考までに

山などに行ってそこに生えている樹を掘り出して持ってきて

盆栽に仕立て上げる「山採り」という高等テクニックもありますが

NAに使う流木や石を拾うのとはワケが違いますので

よほど特別な事情がある方以外は盆栽園に行かれて下さい😅


(↑この鉢の色味と苔と雪柳の新芽の色の調和がとても気に入っている)

2.鉢

樹の容れ物が鉢。

自分が気に入った樹はやはり素敵な「鉢」に植えてやりたいものです。

どんなに魅力的な樹であってもホームセンターで山積みされているような

なんの色気もない大量生産の鉢に入れてしまっては台無しでしょう。


(↑最近手に入れてどのような樹を入れようかワクワク思案中の中国桃花泥鉢)

そこは、ちゃんとした盆栽園などに行くと

和物から中国物まで様々な趣向の鉢がたくさん置いてありますので

そこから好きなものを選んで植え替えて

より自分好みの一鉢へと進化させていく・・・それが盆栽の醍醐味です。

そうすることで、自分の盆栽により一層の愛着が湧き

日々の管理・鑑賞がより楽しくなるのです。


(↑あまりに大き過ぎて合う樹が見つからず放置してる間にポコにゃんの遊び場と化した中国朱泥鉢)

また、言うまでもありませんが

どんなに素敵な鉢を手に入れても

中に入れる樹の種類や樹形が合っていないと

互いの魅力を損ねてしまうことにもなり兼ねますので

お互いを引き立てあうような素敵な素材を

焦らず慎重に探して選んでやることが大切です。

こういう時、慌てたほうが負けなのよね。

 

手に入れた樹に合う鉢探し

手に入れた鉢に合う樹探し

これも盆栽の楽しみの一つです。

 

そのような鉢と樹の関係は

言うなれば夫婦のようなものでしょうか。

3.土

盆栽で使う土は、いくつか種類がありますが

東京住まいの私が同じ関東圏の盆栽園さんの指導で

メインに使っているのは「茨城産の赤玉土」です。

盆栽に用いる土もNAのソイルと同じように

土を粒状に固めたもの(粒土)を使用します。


(↑数日前に植え替えたばかりの鉢の赤玉土)

この「赤玉土(粒土)」も、やはりソイルと同じく

時間とともに崩れて空気や水の通りが悪くなり

樹の健康な成長が妨げられるようになります。

NAのソイルの寿命は1~2年と言われていますが

盆栽も3年くらいでフレッシュな土と入れ替えてやります。

それを「植え替え」といます。

 

なお、私が使っている赤玉土は14L袋で1000円です。

9L=¥3100のADAアマゾニアがかなり割高に感じます😣💸💦

4つ目のおまけ(?)要素として

アクアの世界でも皆に愛される「苔」

盆栽の世界でも作品(盆栽)を演出する重要な素材となります。

盆栽・園芸で用いられる苔は

プロでも把握できないくらいたくさんの種類があります。
(水中の苔も知られていないだけでたくさんあると思いますが)

こちらは絶対に無くてはいけないというものではありませんが

でも、あるとやっぱり綺麗です。

 

                                          

【Ⅴ】脚なんて飾りです編

盆栽の鑑賞は「室内」に置いて行うのが基本ですが

盆栽を室内鑑賞するに当たりもう一つ重要な要素が出てきます。

それは「花台」です。

日本の盆栽の世界では「卓(しょく)」と呼びます。

盆栽を室内に飾る場合、この花台の上に置いて鑑賞するのが基本です。

どこに置くのであっても、「で〜ん!」と直置きしては格好がつきません。

脚が付いてない!

そして、この花台は、その上に置く

盆栽大きさ、鉢の形状、樹形・樹の雰囲気

それに加えて、鑑賞する高さ(軸や額の高さとの関係)などに合わせて

小さな物から大きな物、四角い物から丸い物、平たいものから背の高いものまで

自分の持っている盆栽に関係なく普段からせっせと色々な形の花台を買い集めて

盆栽と同じかそれ以上に様々な種類のものを数多く持っておく必要があります。

戦いとは、常に二手三手先を読んで行うものだ。

 

このように、盆栽の世界ではこの脚は単なる台ではなく

盆栽をより美しく鑑賞するための重要なパーツとなります。

こちらの脚は偉い人ほどその重要性をよく理解しています。

 

                                          

【Ⅵ】整備中で出られません

上で「盆栽は室内で鑑賞するもの」と申しましたが

盆栽は自然の樹木ですので普段は日光が当たり、風が通る

「野外」に置いて管理しなければなりません。

各盆栽たちはそこで管理しやすいよう一ヶ所に集められ

日々の管理(水やり・肥料・防虫・剪定など)を受けながら

一年のうちで最も美しい状態になるまでジッと出番を待つのです。

やれやれ、棺桶に入ったままお陀仏かよ!
(お陀仏なんかにはしませんけどね)

また、野外での管理は、

大抵は盆栽棚のようなものにズラ〜っと並べられるのが普通ですが

写真のように中国製の陶器の椅子(瓷凳)の上などに置いてやると

室内で鑑賞するのはまた違った趣の光景を作ることができます😌✨

(瓷凳の下にあるのはアクア用の万天石などです)

 

 

                                          

【Ⅶ】僕には帰れる場所があるんだ

さて最後に、

そのように精魂込めて育て上げた盆栽を

どのようにして鑑賞すれば良いのかというお話し。

この、「盆栽はどこに飾ったらよいのか?」という問いに対しては

伝統的な回答としてはまず「床の間」と言う答えが返ってくるかと思います。

盆栽は、日本の「床の間文化」の中で育ったものだからです。

 

しかし、残念ながら現代の日本で床の間を備えたような

純和風の住宅に住んでいる人はあまりいないのも事実、、、


(↑上2枚写真お借りしました)

また、余談ですが、

立派な床の間であっても備え付けられている照明が

青白みが掛かった「蛍光灯」なのをよく見掛けますが

こんな色味の光の下で作品を見て果たして美しいと感じるでしょうか?

これではせっかくの美しい書画や盆栽が台無しではないかと常々疑問に感じてます。

(→谷崎潤一郎『陰影礼賛』)

うちには床の間なんてない、あっても蛍光灯の光はダメ...


(↑出た〜、いらすとや😅💦)

「そんじゃあどこに飾ればいいんじゃボケーーーっ😡!!」

〜と思われることでしょう😱ヒィィ〜💦

そこは皆様、ニーハオどうぞお怒りを鎮めてご安心下さい😌


(映画『梅蘭芳』より)

その点において

盆栽(盆景)を生み出した本家中国では昔から固定の「床の間」というものは無く

代わりに、部屋の壁の一辺に設置した「条案」と呼ばれる横長の飾り机や

或いは、「背の高い花台(花架)」などを上手く使って

庭や廊下、室内の自由な場所にスマートに植物を飾っていたようです。


(映画『梅蘭芳』より)

日本の「盆栽」と中国の「盆景」とでは

そうとうに趣が異なりますので、一概に同じよう考え扱うことは

盆栽文化を磨き上げてきた先人たちに失礼に当たるかもしれませんが

居住空間の構造・生活様式が昔とは大きく異なる現代日本においては

中国の様式には参考にすべき点が多くあるのではないかと思います。


(映画『葉問』より)

「温故知新」という言葉があるように

日本の盆栽文化も独自の良い部分をしっかりと継承しつつも

従来の床の間に囚われずそこから脱却した

何か新しい飾り方を考える時が来ているような気がします。

人は変わっていくわ・・・

 

このことについては、また次回お話ししたいと思います。

 

 

                                          

【Ⅷ】僕が一番上手く使えるんだ

最後の最後、

前項のテーマを踏まえまして

実際に盆栽を室内に飾った例をいくつかご紹介致しましょう。

【枝垂れ桜】

ご覧の通り、私の住まいも思い切り現代の洋風ですので

床の間ではなく、中国様式を真似て

ネットオークションで購入した中国製の高い花台(花架)の上に飾りました。

ちなみに、こちらの枝垂れ桜は

「Ⅰ」でご紹介した枝垂れ桜とは別に後から購入したもの。

ちゃんと枝の手入れがされていて

かつ少々遅咲きでしたので、今週がちょうど見頃の状態でした😌✨

背景が暗い色だと桜の淡い色の花びらがより栄えて良いですね。

【五葉松】

また、上の桜はかなり大きめですが

醤油皿に乗るような「小品盆栽」などもあります。

それらを机の上にちょこんと乗せて常日頃から愛でてやるのも一興です。

後ろの筆掛け(筆架)とも雰囲気がよく合っています。

 

書道や水墨画を嗜まれる方はこのような道具をお持ちでしょうから

それらが置いてあるお部屋には盆栽はより馴染みやすいかと思います。

【サンザシ(山査子)】

こちらは廊下に置いてある棚の上に飾ってみた例です。

いかにも現代的な雰囲気ですが、サンザシの爽やかな新芽と

真っ白な棚の天板とのコントラストもまた美しいかと思います。

横にあるのはやはり中国のアンティークランプです。

同じサンザシを野外の瓷登に置くとこんな感じ。

暖かな太陽光に照らされてキラキラと輝く若い新芽は

これまたため息が出る美しさです。

(↑結局、全部中国😐…)

 

                                          

【Ⅸ】あなたならできるわ

さて、今回の記事はこれで終わりです。

Des Ronds Dans L’eauの盆栽ワールドはいかがでしたでしょうか?

 

入門編と言いつつ、かなり熱く語ってしまいましたが

普段私のブログを愛読されている方(←そんな人いるかしら?)でしたら

楽しんでお読み頂けたのではないかと思っております😅

 

また、アクアリストの中には

「盆栽にも興味あるけど敷居が高そうなので躊躇している」

という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

私も、「盆栽を管理している」と口にすると

「盆栽って難しいんでしょう?」
「盆栽って管理が大変なんでしょう?」

と必ずと言って良いほど聞かれるのですが、、、

その辺はあまり気にしなくて大丈夫

樹は人間が想像しているよりずっと丈夫なので

日にたった1〜2度の水やりさえ忘れなければ

まず枯れるようなことはありません。

 

実際、

私も本当に何も知らない状態でいきなり大きな枝垂れ桜の盆栽を買って

途中、水や肥料が足りなくて花が咲かない年もありもしましたが

それでもなんだかんだ枝一本枯らさずに5年以上維持してきましたから。

(もちろん、買った後に少しずつ勉強しましたけどね)

 

照明の加減、毎日の栄養剤の添加、CO2添加、バクテリア繁殖、餌やり、

水槽掃除、濾過器掃除、器具の掃除、頻繁な剪定、水換え、冷暖房、、、

ハッキリ言って盆栽と比べたらネイチャーアクアリウムの方が

恐ろしいほどにやることが多く遥かに維持が難しいと思います。

水草水槽をきちんと管理している方にとっては

盆栽をとりあえず枯らさないで維持することなど

「朝飯前の屁のカッパ」レベルの話だと思います。

 

ということで、

盆栽に興味があるけど手が出せずに(pq´ ω`*)モジ モジ…しているという方は

あまり難しく考えず、兎にも角にも何か小さな盆栽を一鉢購入してみて

庭先でも玄関でも寝室でもお手洗いでもご自分の好きな場所に置いて

眺めて一緒に過ごしてみることをおすゝめ致します。

 

もし、困ったこと・分からないことが出てきたときは

盆栽園さんに相談すれば喜んで教えてくれます。

植え替えなども持ち込めば手取り足取り指導して貰えます。

そうして少しずつ学んでいくのです。

慣れていくのね、自分でも分かる。

 

そしてひょっとしたら、

そこから何か新しい世界観が開けるかもしれませんし

やっぱり何も見つからないかもしれませんが、、、

日本人として、先人たちが全身全霊をかけて築き上げてきた

伝統文化の世界を垣間見てみるのは決して損のないことだと思います。

 

そういえば、

我らが天野さんもかつて中国で盆景の修行をしたそうですね。

もしかしたらネイチャーアクアリウムのヒントになるようなことも

見つけられるかも知れません・・・

終わり

(; ´∀`)ふぅ〜疲れた💦

皆様も長々ご精読ありがとうございました。

それではまた「応用編」でお会いしましょう。